ホワイトカラー・エグゼンプション制度(残業代ゼロ制度)は導入されるのか?-労務トピックス(アングル2015年4月号)

  • 2015年4月1日公開

厚生労働省は2015年の通常国会で「ホワイトカラー・エグゼンプション制度(残業代ゼロ制度)」を導入するため、労働基準法の改正を目指す方針という報道がありました(朝日新聞デジタル 平成27年1月8日)。

対象となるのは高度な専門職で年収1,075万円以上という大枠を示しているものの、年収の詳細と対象の職種をどこまで広げるかについては審議会で検討中です。今後、ホワイトカラーの働き方に影響を与えるこの制度の行方に注目が集まります。


これまでの経緯

「ホワイトカラー・エグゼンプション制度」は、平成18年に第1次安倍内閣において竹中平蔵氏が持論にその構想が提案されましたが、その後政権交代などがあり成立に至っていません。

しかし最近では、特区的な扱いの中で解雇及び残業代ゼロの動きが検討されています。

「ホワイトカラー・エグゼンプション制度」とは?

一定収入以上のホワイトカラーを労働基準法の労働時間規制の対象から除外し、管理職同様、何時間働いても会社は残業代を支払わなくていいようにするもので、「残業代ゼロ制度」とも言われています。

アメリカやドイツで、「ホワイトカラー・エグゼンプション制度」が導入されている場合、多くはその範囲において厳密な取り決めがあり、労働者の権利を侵害しないように努めています。

制度の目的としては、例えば同じ仕事でも定時に全て終える人と、残業しなければ終わらない人では、給与としては残業代の分、後者の仕事の遅い人の方が得をしている、といったことを是正し、労働時間を問わず、能力のある人にそれに応じた給与を与えられるようにする、というのがこの制度の導入の目的とされています。

世論の反発は強い模様

日本の世論、特に労働者からは制度導入に反対の声があがっています。それの理由としては、今の日本において「ブラック企業」問題のように、労働者と企業の信頼関係が崩れかけているところにあると思われます。

「残業時間ゼロ」の部分のみをクローズアップし、経営者に都合のいいところばかりが使われ、事実上労働者には仕事が増えるだけではないか、という危惧が強いためとみられています。


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