新型コロナウイルスの感染症対策として、これまでにない規模でテレワークが実施されています。内閣府の令和2年5月6月の調査では、コロナ禍でテレワークを経験した就業者の割合は、全国で34.6%(東京23区で55.5%)に及びました。
テレワークにより通勤時間が減り、その分家族と過ごす時間が増えた!プライベートが充実した!などの声も多くあがっています。また約40%の人が今後もテレワークを利用したいと希望しています。
就業者全体のテレワークの利用希望
質問:今後、どの程度の頻度でテレワークを使用してみたいですか。
・テレワーク(ほぼ100%)・・・6.1%
・テレワーク中心(50%以上)・・・14.2%
・定期的にテレワーク(出勤中心50%)・・・9.1%
・定期的に出勤(不定期にテレワーク)・・・10.5%
・職場はテレワーク利用可能だが、利用したくない・・・2.0%
・テレワーク利用は困難・・・47.6%
・わからない・・・10.5%
今回は、テレワークの浸透による労務管理上の課題と解決のポイントについてお伝えします。
今まで以上に重要となる「労働時間管理」と「報・連・相」
テレワークは遠隔で業務を遂行するため作業の実態が見えにくく、上司は部下の働きぶりを把握することが困難となります。ある企業では、作業効率の悪化、無駄な作業の発生などもあり残業時間がオフィス勤務の時より増えてしまったとの声も聞きました。
オフィス勤務時には部下がいつ始業・休憩・終業したのか、一目で把握することが可能ですが、テレワーク勤務時には勤務状況の報告方法をあらかじめ決めておかなくては適切に労働時間を管理することはできません。
評価や報告の仕組みづくり
例えば、本人から終業の際に、メールやビジネスチャットで1日の業務報告とあわせて、その月の残業時間の累計や業務上の懸念点などを報告するルールを設けることも有用です。
またテレワークは評価がしにくいといった課題についても業務報告とあわせて定期的なミーティング(1on1)を実施し、仕事ぶりを把握することで解決につながります。仕組みとしてこまめに「報・連・相」がしやすい環境を会社で整えましょう。
生産性と従業員満足度の向上のための柔軟な労働時間への対応
自宅で業務をすることで、特に子育て世代などは、子供が家庭にいる時間は仕事に集中できず、早朝や寝静まった時間に業務を行いたいなどの希望があります。
このように一定の制約がある家庭でテレワークをする社員を対象として、柔軟な労働時間の仕組みを設けることで、生産性や従業員満足度の向上を図ることも一つの方法です。具体的には、社員の希望に応じて次の仕組みを導入することが考えられます。
①始業・終業時刻の変更
②休憩時間の分割での付与
③終業時刻を遅らせての休憩時間を追加
④フレックスタイム制の利用
②の「休憩時間の分割」は、例えば毎日12時から13時までの1時間を休憩としている会社で本人の希望に応じて、休憩を勤務時間の途中に30分ずつ2回に分けて取る仕組みです。③の「終業時刻を遅らせ休憩時間を追加」は、通常終業時刻18時の場合に、希望に応じて終業時刻を18時30分に遅らせ、その分勤務時間の途中に30分休憩を追加するものです。
従来仕組みがなく新たに導入する場合は、①からの④の全てで就業規則を改定する必要があります。また休憩時間は労働基準法で、原則すべての社員に同じ時刻に一斉に与えなければなりませんので、②③については、一斉休憩の適用除外に関する労使協定を締結する必要があります。④のフレックスタイムについても労使協定の締結が必要です。
テレワークの際も従業員が安心して働くことができるよう、報告・連絡・相談がしやすい環境つくりや柔軟な労働時間に対応することを検討していきましょう。
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