時間外労働の上限規制のポイント -労務トピックス(アングル2017年7月号)

政府は、時間外労働の上限規制については、「働き方改革実行計画」(平成29年3月28日)を踏まえ、精力的に議論を進めています。


罰則付きの上限を設定

法定労働時間を超えて働かせるには、36協定(「時間外・休日労働に関する協定」)を労使間で締結する必要がありますが、現在は告示により原則として「月45時間かつ、年360時間」を上限として運用していました。

しかしながら、現行の労働基準法は時間外労働の時間規制が曖昧であるため、これからは罰則による強制力を持たせ、臨時的な特別の事情がある場合においても上回ることのできない上限を設定する改正案がまとまりました。

具体的には、以下の要件をすべて満たす必要があるとしています。

時間外労働の上限

(現行)

原則  :月45時間以内かつ360時間以内
罰則  :なし
特別条項:・年6回まで
     ・時間外の上限なし

(改正案)

原則  :月45時間以内かつ360時間以内
罰則  :あり
特別条項:・年6回まで
     ・年720時間(月平均60時間)以内
     ・休日労働を含み1ヶ月100時間未満
     ・休日労働を含み、2か月ないし6ヶ月平均で80時間以内


ここで注意したいのは、「休日労働を含み」という記述です。「年720時間以内」については、休日労働を含まず、あくまで時間外労働だけを対象とします。

一方、1か月または複数月の平均の計算の際は、「『時間外労働時間』+『休日労働時間』」で考えなければなりません。

政府は長期的な目標として、時間外労働を行う場合であっても、原則である「月45時間、年360時間以内」となることを目指していく方向です。また、月60時間を超える時間外労働に対する割増賃金率(50%)の中小企業への猶予が廃止されることが平成○年に見込まれておりますので、事業規模にかかわらず法改正にむけた対応策を考えなければなりません。

今回の改正案により、労働時間管理について今一度見直す時期が到来しています。各企業においても、時間外労働を削減する取り組みは避けて通れないものになるでしょう。適正な労働時間管理についてお気軽にご相談ください。


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