2019年6月に労働施策総合推進法が公布され、大企業では2020年6月から、中小企業では2022年4月から職場におけるパワーハラスメント防止のために、雇用管理上必要な措置を講じることが事業主の義務となります。
職場におけるハラスメントは、企業側がしっかりと対応しなければ、安全配慮義務違反による債務不履行責任や使用者責任としての不法行為責任を問われる時代となっています。
どのような言動がパワーハラスメントに該当するのか、また職場ではどのような対応が求められるのか、厚生労働省が発表している資料を元にご紹介します。
2020年6月の税務・労務スケジュール[提出先・納付先]
2020年6月1日(月) | 労働保険の年度更新手続の開始 <7月10日まで> [税務署] |
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2020年6月10日(水) | 源泉徴収税額・住民税特別徴収税額の納付 [郵便局または銀行] |
雇用保険被保険者資格取得届の提出 <前月以降に採用した労働者がいる場合>[公共職業安定所] |
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特例による住民税特別徴収税額の納付 [郵便局または銀行] |
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2020年6月30日(火) | 個人の道府県民税・市町村民税の納付<第1期分> [郵便局または銀行] |
健保・厚年保険料の納付 [郵便局または銀行] |
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健康保険印紙受払等報告書の提出 [年金事務所] |
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労働保険印紙保険料納付・納付計器使用状況報告書の提出 [公共職業安定所] |
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外国人雇用状況の届出(雇用保険の被保険者でない場合) <雇入れ・離職の翌月末日> [公共職業安定所] |
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雇入時及び毎年一回 | 健康診断個人票 [事業場] |
職場における「パワーハラスメント」とは-職場におけるパワハラの3要素
職場において行われる
①優越的な関係を背景とした言動であって、
②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、
③労働者の就業環境が害されるものであり、
①~③のまでの要素を全て満たすものを言います。(なお、客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、職場におけるパワーハラスメントには該当しません。)
◆「職場」とは
事業主が雇用する労働者が業務を遂行する場所を指し、労働者が通常就業している場所以外の場所であっても、労働者が業務を遂行する場所であれば「職場」に含まれます。
勤務時間外の「懇親の場」、社員寮や通勤中などであっても、実質上職務の延長と考えられるものは「職場」に該当しますが、その判断に当たっては、職務との関連性、参加者、参加や対応が強制的か任意かといったことを考慮して個別に行う必要があります。
◆「労働者」とは
正規雇用労働者のみならず、パートタイム労働者、契約社員などいわゆる非正規雇用労働者を含む、事業主が雇用する全ての労働者をいいます。
また、派遣労働者については、派遣元事業主のみならず、労働者派遣の役務の提供を受ける者(派遣先事業主)も、自ら雇用する労働者と同様に、措置を講ずる必要があります。
パワーハラスメントの防止のために事業主が講じるべき措置とは
<事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発>
① 職場におけるパワハラの内容・パワハラを行ってはならない旨の方針を明確化し、労働者に周知・啓発すること
② 行為者について、厳正に対処する旨の方針・対処の内容を就業規則等の文書に規定し、労働者に周知・啓発すること
<相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備>
③ 相談窓口をあらかじめ定め、労働者に周知すること
④ 相談窓口担当者が、相談内容や状況に応じ、適切に対応できるようにすること
<職場におけるパワーハラスメントに係る事後の迅速かつ適切な対応>
⑤ 事実関係を迅速かつ正確に確認すること
⑥ 速やかに被害者に対する配慮のための措置を適正に行うこと
⑦ 事実関係の確認後、行為者に対する措置を適正に行うこと
⑧ 再発防止に向けた措置を講ずること
<その他併せて講ずべき措置>
⑨ 相談者・行為者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講じ、その旨労働者に周知すること
⑩ 相談したこと等を理由として、解雇その他不利益取扱いをされない旨を定め、労働者に周知・啓発すること
事業主に相談等をした労働者に対する不利益取扱いの禁止
事業主は、労働者が職場におけるパワーハラスメントについての相談を行ったことや雇用管理上の措置に協力して事実を述べたことを理由とする解雇その他不利益な取扱いをすることが、法律上禁止されます。
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